
ここまでは、答えのポイントを図版で紹介しました。ここからは、ロケットによって燃料がなぜ違うのか、もう少しゆっくり見ていきましょう。
ロケットは、燃料だけで飛んでいるわけではありません。燃料と酸化剤をエンジンの中で燃やし、高温高圧のガスを後ろへ勢いよく噴き出します。その反動で、ロケットは空へ、そして宇宙へ向かって飛んでいきます。
多くの液体ロケットでは、酸化剤として液体酸素が使われます。酸化剤とは、燃料を燃やすために、酸素の役割をするものです。地上では空気中の酸素を使ってものを燃やすことができますが、宇宙へ向かうロケットは、酸化剤も自分で積んで飛んでいきます。
一方で、燃料にはいくつかの種類があり、ロケットによって選ばれる燃料が違います。
たとえば、JAXAの大型ロケット「H3」では、燃料に液体水素が使われています。液体水素はとても軽く、燃料としての効率が高いことが特徴です。そのため、大型ロケットに向いた燃料として選ばれています。
アメリカのスペースX社の「ファルコン9」では、石油系の燃料であるケロシンが使われています。ケロシンは常温で扱いやすいことが利点です。
そして、大樹町から打ち上げを目指すインターステラテクノロジズのロケットZEROで使われる燃料が、液化メタンです。
ZEROで使用される液化メタンは、北海道十勝地方の牧場の家畜ふん尿から発生するバイオガスを精製・液化したもので、ロケットに使用できる高純度メタンです。また、液化メタンは、LNG(液化天然ガス)の代替燃料としての活用が期待されています。液化メタンは、灯油系燃料より環境負荷が低く扱いやすいなど、総合的に優れていることから、ZEROの燃料に選定されました。
さらに、ZEROロケットの燃料には、十勝地方らしい取り組みも関わっています。
十勝地方には、たくさんの牛がいます。牛のふんを発酵させることで、メタンガスを回収できます。そのメタンを液化し、ロケット燃料として使用する取り組みも進んでいます。
つまり、地域にある資源を生かしながら、ロケットの燃料づくりにつなげようとしているのです。宇宙開発は、遠い世界だけの話ではありません。地域の産業や暮らしとも、こうしてつながっています。
ロケットの燃料には、それぞれ選ばれる理由があります。軽くて効率のよい液体水素。常温で扱いやすい石油系燃料。そして、性能や扱いやすさ、地域資源の活用という面でも特徴を持つ液化バイオメタン。
どの燃料を選ぶかは、ロケットの大きさや目的、性能、扱いやすさなどを考えて決められます。ロケットは、燃料一つを見ても、たくさんの工夫と考え方が詰まっています。
さて、みなさんは正解できましたか?ぜひ、家族やお友達にもこのクイズを出してみてください。北海道・十勝の地域資源が、宇宙へ向かうロケットの燃料につながっていると知ると、宇宙開発がぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。
これからも、宇宙がもっと身近に感じられるクイズをお届けしていきます。どうぞお楽しみに。
クイズを作ってくれたのは

上森規光さん
JAXAで37年間、宇宙に関わる仕事を続け、アメリカ・ワシントンでも活躍。今はHIREC株式会社の社長として、宇宙で使う部品や機械が安全に動くよう、品質を守る仕事に取り組んでいます。