
ここまでは、答えのポイントを図版で紹介しました。ここからは、大樹町がなぜ宇宙港に向いているのかを、「安全」という視点からもう少しゆっくり見ていきましょう。
北海道・十勝地方にある大樹町では、近年、ロケットの打ち上げをはじめ、宇宙に関わる取り組みが進んでいます。ニュースなどで、大樹町の名前を聞いたことがある、という人もいるはずです。
では、なぜ大樹町は「宇宙港」に向いているのでしょうか。
一番大きな理由は、ロケットを安全に打ち上げるための区域を確保しやすいことにあります。
ロケットを打ち上げるときには、どの方向へ飛ばすのかがとても大切です。たとえば、静止衛星の軌道を目指す場合は東側へ、極軌道を目指す場合は南側へ打ち上げます。
そのため、ロケットの発射場では、東や南の方向に広い安全区域を確保できることが重要になります。万が一、ロケットの一部が落下する可能性も考えると、人が住んでいる場所ではなく、海の上に安全区域を設定できることが大切だからです。
大樹町の東と南には、海が広がっています。つまり、ロケットを打ち上げる方向に、安全区域を確保しやすい地形なのです。これが、大樹町が宇宙港に適している一番の理由です。
ただし、このクイズの大切なところは、答えが①だけで終わらないところです。
選択肢の③「たくさんの人が一生懸命だから」も、実は見逃せない理由です。
宇宙港は、地理的な条件だけで自然にできるものではありません。実験の場をつくり、企業を呼び込み、地域として支え続ける人たちがいて、少しずつ形になっていきます。
大樹町には、もともと大樹航空公園という飛行場がありました。そこを実験の場として使ってもらうために、当時の町長が関係機関へ何度も足を運び、働きかけを重ねたといいます。
そうした努力をきっかけに、滑空機の実験など、さまざまな取り組みが大樹町に集まるようになりました。そして、やがてロケットの打ち上げ実験へとつながっていきました。
いまでは、大樹町、SPACE COTAN、インターステラテクノロジズなど、宇宙に関わる人たちや企業が、この地域で挑戦を続けています。ふるさと納税などを通じて、大樹町を応援する動きも生まれています。
つまり、大樹町が宇宙港に向いている理由には、大きく二つの面があります。
一つは、東と南に海があり、安全区域を確保しやすいという地理的な条件です。もう一つは、地域の人たちや企業が、長い時間をかけて宇宙への挑戦を支えてきたことにあります。
ロケットは、技術だけで飛ぶわけではありません。安全な場所があり、挑戦する人がいて、それを支える地域がある。そうした積み重ねが、宇宙へ向かう道をひらいていきます。
大樹町は、そうした条件と人の思いが重なり、宇宙へ向かう場所として育ってきた町なのです。
さて、みなさんは正解できましたか?ぜひ、家族やお友達にもこのクイズを出してみてください。北海道・十勝の町からロケットが宇宙へ向かっていると知ると、日本の宇宙開発がぐっと身近に感じられるかもしれません。
これからも、宇宙がもっと身近に感じられるクイズをお届けしていきます。どうぞお楽しみに。
クイズを作ってくれたのは

上森規光さん
JAXAで37年間、宇宙に関わる仕事を続け、アメリカ・ワシントンでも活躍。今はHIREC株式会社の社長として、宇宙で使う部品や機械が安全に動くよう、品質を守る仕事に取り組んでいます。