1. SpaceStep TOP
  2. 宇宙ビジネスを身近にする
  3. 時間が遅くなる!?「インターステラー」から紐解く、特殊相対性理論【連載】コスモ女子の“ふわり、宇宙遊泳”

2026.09.15

時間が遅くなる!?「インターステラー」から紐解く、特殊相対性理論【連載】コスモ女子の“ふわり、宇宙遊泳”

みなさんこんにちは!宇宙を身近にする女性コミュニティ「コスモ女子」です。 この連載では、私たちが宇宙を楽しむエピソードや取り組みを紹介しています。

当連載でも好評の、映画から宇宙用語を学ぶシリーズ。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「名探偵コナン」につづき、今回は「インターステラー」です!

作中で描かれる「場所によって時間の進み方が変わる」という不思議な現象を手がかりに、特殊相対性理論やブラックホールが時間に与える影響を、映画の物語とともにわかりやすく紐解いていきましょう。(文=コスモ女子、編集=SpaceStep編集部)

リアルな宇宙体験ができる、アカデミー賞受賞作!

手軽に様々な世界を体験できる映画。中でも、SF映画、さらに宇宙を題材にしたものとなれば、その迫力は言わずもがなです。 ただ、皆様もご想像のとおり、宇宙での撮影はもちろん難しく、宇宙自体も未知の領域。映画の内容はほぼフィクションといっても過言ではありません。

そんなSF映画の中でも、サイエンスアドバイザーなどを招いて、なるべく現実に近いものにしている作品も数多くあります。

その一つとして挙げられるのが、2014年に公開された「インターステラー」です。数多くの名作を生み出したクリストファー・ノーラン監督と、アカデミー賞受賞Wキャストが手掛けています。

(引用:ワーナーブラザース公式YouTube) 

舞台は、飢餓状態の地球。

人類が移り住める惑星を探すという、想像だにできないミッションが発動するところから物語は始まります。そのミッションに選ばれた元エンジニアや博士などが、体験したこともない宇宙の事象に翻弄されながらも、ミッションを遂行していくというストーリーです。

作品の中では、ブラックホールやワームホールなど、聞いたことはあるけれど、実際どうなっているの?という事象が多数出てきます。これらの事象を、重力理論などに精通した、理論物理学者キップ・ソーン氏が監修して内容に盛り込んでいます。

大迫力の世界を体験しながらも、宇宙物理について学ぶこともできる素敵な映画、それが「インターステラー」なのです。

宇宙船の時間は、地球時間よりもかなりゆっくり流れている!?

作中では、地球にいる主人公の子供や家族から何度もビデオレターが届きます。ビデオレターを見るたびに子供達は歳をとっていき、ついには主人公の年齢を越していく、という事象が発生しています。

このなんとも不思議な現象を解き明かす鍵が「特殊相対性理論」です。 これはアインシュタインにより発表された理論で「光の速さはどんな時でも常に一定である」というものです。

この特殊相対性理論が、地球上と宇宙での年齢の変化とどう関係しているかを、一緒に紐解いてみましょう。

いる場所によって”1秒”は違う?

小学校で習った、距離と時間と速度の関係を覚えているでしょうか?

年代や地域によって異なるかもしれませんが、わたしは以下のように「きはじ」と覚えていました。

距離と時間と速度の関係は

「距離=速さ(速度)×時間」

で表すことができます。

さらに、今回は光について考えていきますが、特殊相対性理論によれば「光の速さはどんな時でも常に一定である」ため、距離と時間の関係は「距離は時間に比例する」のです。

つまり、「距離が長いほど進む時間はかかる」ということです。

では次に、時間の進み方について、実験で考えてみましょう。

・光が1往復したら1秒とカウントする時計を用意します。

・この時計を光の速さに近い速度で走る電車に乗せた時

①電車に乗っている人

②電車を外から見ている人 

では見え方はどうなるでしょうか?


時計を電車の中と外で見たイメージ図

①の電車に乗っている人は、上図の左側のように、光が一直線に往復しているように見えます。

一方、②の電車を外から見ている人は電車の外から見ているので、上図の右側のように、光が底面から斜め上に進み、反射されて斜め下に進んでいるように見えるでしょう。

これより、①に比べて、斜めに進んでいる②の方が光の進んだ距離は長くなっています。

ここで、先にお伝えした「距離が長いほど進む時間はかかる」という関係を思い出してください。②の方が進んだ距離が長いので、電車の外から見た人にとっては長い時間が経っているということになります。

この時計は1往復で1秒なので、電車の中では1秒なのに、電車の外から見ると1秒より長い時間がかかっているように感じます。

つまり、電車の中で1秒経った時は、既に電車の外では1秒以上経っていることになり、電車の中の方が時間の進み方がゆっくりになっているのです。

ちなみに、地上と、秒速数kmの速さで地球を回る人工衛星の時間の進み方とを比べると、地上よりも100億分の4.45秒ゆっくり進むことが実際に確認できるそうです。

全部ブラックホールのせい!

ここまで、特殊相対性理論の観点から時間の進み方についてお話ししてきましたが、今の技術では光速に近い速さで進む物体は作れないため、地上と宇宙空間で生まれる時間差はあくまで100億分の1秒あるかないかでしかありません。

しかし、冒頭でも説明した通り、作中では地球上と宇宙にいる主人公たちとで何十年も時間の進み方が違います。

では、この違いをもたらしているものの正体はなんでしょうか?

それはブラックホールです。

ブラックホールは、ものすごく重く、時空さえも歪めてしまいます。

しかも巨大なブラックホールともなれば、近くを通りすぎるだけで、とてつもない重力によって時間の進み方が遅くなってしまいます。

作中でも、巨大ブラックホール付近にいることで時間の進み方がかなり遅くなるから、早く脱出しなければ取り返しのつかないことになる!と船員たちが焦っている様子も描かれています。

相対性理論における「時空の歪み(曲率)」を視覚的に表したイラスト。量を持った物体が周囲の時間と空間(時空)を歪める現象です。黄色玉>橙玉>赤玉の順で重く歪みも強い(出展:© ESA, C. Carreau)

いかがでしたか?

特殊相対性理論の観点から時間の進み方について考えてきましたが、結局はブラックホールが大きな影響を及ぼしていました。宇宙空間において重要な存在であるブラックホールについても紹介していますので、ぜひご覧ください!

ブラックホールを学ぶ~地球をさくらんぼサイズに!?【連載】コスモ女子の“ふわり、宇宙遊泳”(第5回)

元記事:時間が遅くなる!?映画「インターステラー」から特殊相対性理論をひも解いてみよう!