福祉の現場における「応援」は、活動を支える大切な力の一つだ。一方で、その優しさだけに頼ることで、働く人が本来持つ力を十分に生かせていないのではないか。支援される側にとどまるのではなく、市場で必要とされ、胸を張って挑戦できる仕事をいかにして生み出すかという問いは、福祉のものづくりにおける長年の課題であったといえる。
こうした問題意識から、「宇宙」を目標に掲げたものづくりへの挑戦が進んでいる。2026年7月、合同会社Uriboは、就労継続支援B型事業所「うりぼラボ」が推進する「宇宙で食べられるスプーンプロジェクト」の累計試験配布数が8,700本を突破したと発表した。誤魔化しのきかない極限環境である「宇宙」をあえて目指すものづくりが、福祉と宇宙ビジネスをつなぐ新たな可能性を示している。(文=SpaceStep編集部)
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鹿児島市で就労継続支援B型事業所「うりぼラボ」を運営する合同会社Uriboが進める「宇宙で食べられるスプーンプロジェクト」が、これまでに累計8,700本の試験配布を達成した。

(引用元:PR TIMES)
本プロジェクトの始まりは、同社の農園で育てた有機米の試食現場にあった。精米時に出る「ぬか」をスプーンで提供していたところ、突風で舞い上がってしまった出来事をきっかけに、ぬかを焼いてスティック状にした試食品を開発。これが好評を得たことから、事業所の利用者と共に粉の配合を重ね、スプーンの形状へと発展させた。

(引用元:PR TIMES)
完成した「すごくかたいよ 食べられるスプーン」は、小麦粉や水飴などを主原料とし、使用後はそのまま食べることができ、「廃棄ゼロ」を特徴としている。さらに個包装や防災備蓄にも対応しており、検品からパッケージデザイン、マルシェでのプロモーション活動までを作業所の利用者とともに行っている。現在は10,000本の配布を目指し、カフェやフードトラックに続く異業種コラボレーションの第3弾として、アクセサリーブランド「IVYアイビー」との新ライン「STELLAR」の始動準備を進めている。

(引用元:PR TIMES)
Uriboによる宇宙食プロジェクトの取り組みで注目されるのは、福祉の現場で生まれた製品を「応援される商品」にとどめず、製品そのものの価値を高めようとしている点だ。その目標として、軽さや安全性、再現性などが求められる宇宙を掲げている。

(引用元:PR TIMES)
宇宙空間は、一度破損やトラブルが起きれば取り返しのつかない過酷な環境だ。あえてこの厳しい基準を自らに課すことは、単に「福祉施設で作られた商品だから」という理由で購入されるのではなく、製品そのものの価値で評価されるものづくりを目指すことにつながる。働く利用者がものづくりの様々な工程に関わり、高い目標に挑戦できる仕事を生み出そうとしている点も、この取り組みの特徴だ。
また、本取り組みが提示する価値は、地方の小さな作業所であっても、宇宙という共通の目標を掲げることで地域の多様な企業と共創できる点にある。カフェやアクセサリーブランドなど業種を超えたパートナーが集まることで、これからも福祉の枠にとどまらない新たなビジネスのエコシステムが形成されていくはずだ。
宇宙への挑戦は、最先端の研究所や巨大企業だけに開かれたものではない。Uriboと「うりぼラボ」が示した宇宙食へのアプローチは、福祉の現場に「挑戦する誇り」をもたらし、地域の可能性を宇宙空間へと広げていくための確かな足がかりとなるだろう。
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