防災や森林保全、社会インフラの維持管理など、多様な課題解決に向けて活用が期待される衛星データ。しかし、従来の調達プロセスにおいては、煩雑な申請手続きや専門知識、さらには広範囲のデータを一括購入しなければならない高額な費用体系が存在しており、小規模な検証を行いたい企業や自治体による導入を阻んできた。
こうした衛星データの調達におけるハードルを解消すべく、オンラインで即座に購入できる新たなアプローチが動き出した。2026年6月、株式会社天地人は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「だいち4号」の観測データを手軽に購入できるプラットフォーム「Tenchijin EO Market」の提供を開始した。少額・小範囲からの即時提供を実現する仕組みが、衛星データの社会実装を力強く後押ししようとしている。(文=SpaceStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
JAXA認定の宇宙ベンチャーである天地人が提供を開始した「Tenchijin EO Market」は、JAXAの人工衛星「だいち4号(ALOS-4)」に搭載されたLバンド合成開口レーダ「PALSAR-3」の観測データを、用途や必要範囲に応じてオンラインで購入できるプラットフォームだ。
だいち4号は、夜間や悪天候下でも地表を観測できる特性を持ち、防災や地殻変動の監視、森林管理、インフラ分野など幅広い領域での活用が見込まれている。本サービスでは、直感的なUIを通じて地図上で必要なエリアを指定し、クレジットカード決済を行うだけでデータを取得できる環境を整えた。
提供プランとして、利用者のスキルや目的に合わせて2種類を用意している。手軽さを追求した「PALSAR-3 5mモザイク」は、オルソ補正済みの5メートル解像度データを10キロメートル四方あたり4,000円(税込)から購入可能(日本の一部地域限定)で、決済後すぐにマイページからダウンロードできる。

(引用元:PR TIMES)
一方、高度なデータ解析を行う層に向けては、全世界のデータを網羅し、干渉SARにも利用可能な「PALSAR-3 標準プロダクト」を1シーンあたり39,800円(税込)で提供する。これにより、研究や初期検証から実務利用まで、目的に応じた無駄のないデータ取得を可能にしている。
天地人によるTenchijin EO Marketの提供開始が示唆するのは、衛星データビジネスの主戦場が「専門機関による大規模な研究開発」から「現場の実務における小口利用」へと本格的に移行し始めたという事実である。
従来の衛星データ市場では、広大なエリアを高額で購入する形式が主流であり、予算の限られた自治体や中小企業にとっては初期検証(PoC)への着手すら容易ではなかった。この状況に対し、必要な範囲だけを数千円単位から調達できる「データの小口化」は、参入障壁を劇的に引き下げ、多様なプレイヤーが衛星データを日常的な業務ツールとして試行できる環境を整えるものだ。
また、本取り組みがもたらす価値は、社会課題の解決スピードを加速させる点にある。例えば、同社が展開する水道管の漏水リスク解析のように、衛星レーダーを活用したインフラ保全は現場の実務と直結している。手軽に最新データを取得できるプラットフォームが存在することで、地方自治体でのインフラ点検や防災対策など、これまで費用面で導入を見送っていた現場への実装が一気に進むだろう。
宇宙技術が真の価値を発揮するためには、誰もがアクセスできる実用的な道具へと変貌することが欠かせない。天地人が提示した小口購入型のプラットフォームは、衛星データを社会の隅々へ行き渡らせ、現場の課題解決を支えるための重要な基盤となっていくはずだ。
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