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  3. 耐熱材不要へ。再使用ロケットの革新

大気圏を突破して宇宙へ向かい、再び地上へ生還する。再使用型ロケットは、宇宙輸送の低コスト化や高頻度化を実現する上で重要な技術の一つだ。しかし、大気圏再突入時の超高温に耐える重厚な「耐熱材」が、機体の軽量化と整備コスト削減を阻む課題となっていた。こうした課題に対し、耐熱材を不要とする新たなアプローチが動き出した。大学とスタートアップの連携が再使用型宇宙輸送機の実現にどのようにつながるのかを見ていく。(文=SpaceStep編集部)

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耐熱材不要のタンク実証。東京理科大と連携

2026年6月、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指す将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は、学校法人東京理科大学と連携して再使用型ロケットタンクの地上実証研究を開始したと発表した。

(引用元:PR TIMES

本プロジェクトは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する宇宙戦略基金「SX-ARK」において、東京理科大学が採択された技術開発課題にISCが連携機関として参画するものだ。2026年5月から2029年3月にかけて、帰還用耐熱材を不要とする再使用型ロケットタンクのスケールモデルを用いた地上実証が進められる。

完全な再使用型宇宙輸送機の早期実現に向け、機体の大幅な軽量化は重要な技術課題の一つである。従来の再使用型機体では、大気圏再突入時の空力加熱に対処するための耐熱防護システム(TPS:Thermal Protection System)が必須だった。しかし、これは機体重量の多くを占めるだけでなく、飛行ごとの点検や整備にかかるコストを跳ね上げる要因となっていた。

今回の研究では、この耐熱材を不要とするタンク技術の検証を行う。ISCは連携機関として、再使用型ロケットの構想策定や経済性評価を担うとともに、実機タンクを模擬した試験装置でスケールモデルの温度応答データを取得する。この地上実証を通じて技術的な成立性とシステムとしての優位性を科学的に明らかにし、将来の機体の軽量化と低コスト化を目指す。研究成果は同社が開発を進める再使用型ロケットシリーズへ段階的に適用される予定だ。

低コスト化を見据えた、再使用型宇宙輸送への挑戦

再使用型宇宙輸送機の軽量化と低コスト化を実現する上で、耐熱防護システム(TPS)の重量や点検・整備コストをいかに抑えるかは重要な課題となる。

これまでのロケット開発は、いかに確実に重い貨物を軌道へ届けるかという機能が最優先されてきた。しかし、再使用型ロケットの実用化に向けて、輸送能力だけでなく、低コスト化や高頻度運航を可能にする経済性も重要になる。

大気圏再突入のたびに耐熱材が損傷し、その修復に多大な時間と費用を費やしていては、飛行機のように毎日人や貨物を宇宙へ届ける世界は実現しない。耐熱材を不要にするアプローチは、点検の手間を省き、整備にかかるリードタイムを短縮する。さらに、機体が軽くなることで積載できる貨物の量は増え、打ち上げ一回あたりの収益性は飛躍的に高まる。この地道な温度応答データの収集と経済性評価は、宇宙輸送という巨大なインフラの採算を合わせるための合理的なビジネスアプローチである。

また、大学が主導する基礎的な要素技術の研究に対し、スタートアップが事業化の視点を持って参画している点も大きな意味を持つ。それぞれの強みを活かした産学連携の体制が、先端技術を最短距離で実体経済へと実装させる力強い推進力となっていくだろう。

宇宙空間が特別な探求の場から、誰もが利用できるビジネスの舞台へと拓かれるためには、輸送コストという物理的な障壁を打ち破る必要がある。耐熱材をなくすという常識破りの試みが結実したとき、宇宙と地上を結ぶインフラは完成し、私たちの経済活動は無限の空間へと広がっていくはずだ。

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