
ここまでは、答えのポイントを図版で紹介しました。ここからは、人工衛星の中でコンピュータチップがどんな役割を担い、なぜ複数使われているのかを、もう少しゆっくり見ていきましょう。
人工衛星というと、大きなアンテナや太陽電池パネルを思い浮かべる人も多いかもしれません。けれども、その中には、宇宙で正しく働き続けるための装置がたくさん搭載されています。
たとえば、衛星の温度を調整する装置、電力を管理する装置、太陽電池を太陽に向ける装置、地球と通信するための装置。人工衛星は、こうした装置がそれぞれの役割を果たすことで、宇宙で働き続けています。
大型の人工衛星では、パネルの上に約20個の装置が搭載されています。それぞれの装置は、役割ごとに分かれた「箱」のようなものです。
そして、その一つひとつの装置の中に、コンピュータチップが入っています。
コンピュータチップは、装置を動かしたり、情報を処理したりするための大切な部品です。人間の体でたとえるなら、装置に命令を出す「小さな頭脳」のような存在と言えるかもしれません。
では、なぜ一つの装置に、コンピュータチップが2〜3個も入っているのでしょうか。
それは、もし1個のコンピュータチップが止まってしまっても、ほかのチップで機能を保てるようにしておくためです。宇宙で運用されている人工衛星は、地上の機械のように簡単に修理しに行くことができません。そのため、一つの部品が故障しても、すぐに衛星全体の機能が失われないように、あらかじめ備えておく必要があります。
このように、同じ役割を果たせるものを複数用意しておく考え方を、専門的には「冗長系」といいます。少し難しい言葉ですが、人工衛星が宇宙で安全に働き続けるための大切な工夫です。
大型の人工衛星には、約20個の装置があります。その一つひとつに2〜3個のコンピュータチップが入っているため、20個×2〜3個で、およそ50個になります。
小さなコンピュータチップがいくつも集まり、温度調整、電力管理、太陽電池の向きの制御、地球との通信などを支えています。人工衛星は、地球のまわりを回る大きな機械であると同時に、たくさんの小さな頭脳が集まって働くシステムでもあるのです。
人工衛星の内部で働くコンピュータチップは、私たちの目には見えません。しかし、見えない場所で多くの装置とコンピュータチップが連携し、人工衛星の働きを支えています。
さて、みなさんは正解できましたか?ぜひ、家族やお友達にもこのクイズを出してみてください。大型の人工衛星の中に約50個ものコンピュータチップが使われていると知ると、空の上で働く人工衛星の見え方が少し変わるかもしれません。
これからも、宇宙がもっと身近に感じられるクイズをお届けしていきます。どうぞお楽しみに。
クイズを作ってくれたのは

上森規光さん
JAXAで37年間、宇宙に関わる仕事を続け、アメリカ・ワシントンでも活躍。今はHIREC株式会社の社長として、宇宙で使う部品や機械が安全に動くよう、品質を守る仕事に取り組んでいます。