
ここまでは、答えのポイントを図版で紹介しました。ここからは、人工衛星がどんな場所を回り、どんな役割を果たしているのかを、もう少しゆっくり見ていきましょう。
人工衛星とは、人間が作って宇宙へ送り出した機械で、地球のまわりを回りながら、必要な情報を届けたり、地球のようすを調べたりしています。
たとえば、天気予報で見る雲の画像、地球のようすを調べる観測データ、通信や放送を支えるしくみ、スマートフォンやカーナビで自分の位置を知るための情報。こうした身近なものの多くに、人工衛星が関わっています。
ふだん、私たちが人工衛星を意識することはあまりありません。それでも、天気を知るとき、地図を見るとき、通信や放送を使うとき、人工衛星は空の上で働いています。
では、そんな人工衛星は、いま地球のまわりにどれくらいあるのでしょうか。
答えは、約1万5千機です。私たちが見上げる空のさらに上には、想像以上にたくさんの人工衛星が飛んでいます。
「そんなにたくさんあるの?」と驚いた人もいるかもしれません。近年、地球のまわりを回る人工衛星の数は大きく増えています。
その大きな理由の一つが、アメリカのスペースX社が打ち上げている「スターリンク衛星」です。スターリンク衛星は、たくさんの衛星を地球のまわりに配置し、通信に役立てるための衛星です。現在、約1万5千機ある人工衛星のうち、約1万機がスターリンク衛星だとされています。つまり、いま地球のまわりを回る人工衛星の半分以上を、スターリンク衛星が占めていることになります。
人工衛星は、役割だけでなく、地球からの高さによっても分けることができます。
地球に比較的近いところを回る衛星には、地球観測衛星や科学衛星などがあります。図版では、このあたりを回る衛星が約4千機と紹介しました。地球の表面や海、雲の動きなどを調べたり、宇宙や地球について研究したりするために使われます。
もう少し高いところには、GPSなどに使われる測位衛星があります。「測位」とは、自分がいまどこにいるのかを知るためのしくみです。スマートフォンやカーナビで現在地を知るときにも、こうした衛星が役立っています。
さらに遠いところには、気象衛星や通信・放送衛星などがあります。なかには、地球から見ると同じ場所にとどまっているように見える「静止軌道」を回る衛星もあります。広い地域に向けて情報を届けるために、大切な役割を果たしています。
人工衛星が増えることで、私たちの暮らしは便利になっていきます。一方で、数が増えるからこそ、考えなければならない課題もあります。
その一つが、人工衛星同士の衝突です。つまり、宇宙で人工衛星がぶつかってしまうことです。
「宇宙は広いのだから、ぶつからないのでは?」と思うかもしれません。ところが実際には、人工衛星同士がぶつかった例があります。人工衛星がぶつかると、こわれた部品や破片が宇宙空間に広がります。こうした宇宙に残ったごみのことを「宇宙デブリ」と呼びます。
宇宙デブリは、ほかの人工衛星に当たってしまうことがあります。すると、また新しい破片が生まれ、危険がさらに広がるおそれがあります。人工衛星が増える時代には、宇宙を安全に使い続けるための工夫も大切になっていくのです。
天気予報を見るとき、スマートフォンで地図を使うとき、通信や放送を使うとき。ふだんの暮らしの背景には、空の上を回る人工衛星の働きがあります。
さて、みなさんは正解できましたか?ぜひ、家族やお友達にもこのクイズを出してみてください。地球のまわりに約1万5千機もの人工衛星が回っていると知ると、いつも見上げている空が、少し違って見えるかもしれません。
これからも、宇宙がもっと身近に感じられるクイズをお届けしていきます。どうぞお楽しみに。
クイズを作ってくれたのは

上森規光さん
JAXAで37年間、宇宙に関わる仕事を続け、アメリカ・ワシントンでも活躍。今はHIREC株式会社の社長として、宇宙で使う部品や機械が安全に動くよう、品質を守る仕事に取り組んでいます。