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  3. デブリ化防止装置を欧州へ。BULLの挑戦

世界中で人工衛星やロケットの打ち上げが急増する中、運用終了後の機体などが軌道上に放置され続ける「宇宙デブリ」の増加は、将来の宇宙開発そのものを脅かす深刻なリスクとなっている。

軌道上の安全を保つためには、運用終了後の機体を速やかに大気圏へ再突入させて処分する仕組みが不可欠だ。しかし、機体の打ち上げ能力やコスト競争力を損なわずに導入できる、実効性の高い軌道離脱ソリューションは乏しかったのが実情だ。

機体性能の維持とデブリ防止の両立という課題に対し、運用を終えたロケットのデブリ化を防ぐ装置の実装に向けた新たなアプローチが動き出した。2026年6月、株式会社BULLは欧州の大手ロケット製造会社であるAvio社より、宇宙デブリ化防止装置「HORN」の調達(購入)評価に関する意向表明書(LOI)を受領したことを発表した。日本の地方発スタートアップの独自技術が、国際的な宇宙輸送インフラの一角を担おうとしている。(文=SpaceStep編集部)

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Vega-Cへの搭載を視野に。共同検討から調達評価への前進

(引用元:PR TIMES

栃木県宇都宮市を拠点に宇宙デブリ対策事業を展開するBULLが、欧州の打ち上げサービス大手であるイタリア・Avio社から受領した意向表明書(LOI)は、同社が開発する宇宙デブリ化防止(PMD)装置「HORN」の実用化に向けた合意を示すものだ。

両社は2025年1月に小型ロケット「Vega-C」への装置搭載に向けた実現可能性の共同検討を開始するMoU(基本合意書)を締結していた。今回の合意は従来の枠組みを一段階進め、実用化に向けた具体的な道筋を定めたものだ。具体的には、BULLが今後実施する軌道上実証の成功を前提として、Avio社が運用する「Vega-C」の軌道上ハードウエア「VESPA」などのサブシステムにBULL製PMD装置を搭載すべく、調達(購入)評価・検討に入ることを確認した。同社の天体再突入技術を応用した軌道離脱ソリューションが、欧州の基幹輸送システムから実戦的な評価を得た形となる。

また、本連携は外交の場を通じても広く発信された。2026年6月15日にイタリア・ローマで開催された日伊首脳会談では、BULL代表取締役 CEO 宇藤 恭士 氏が高市首相に同行し、現地でイタリアのジョルジャ・メローニ首相と面会。デブリ対策の取り組みやAvio社との強固な連携について説明を行い、宇宙環境の保全に向けた日伊協力の重要性について理解を示していただいたという。


(引用元:PR TIMES

国際サプライチェーンへの参入。地方発スタートアップの存在感

BULLとAvio社による今回の連携深化が示唆するのは、宇宙デブリを軌道上で除去するだけでなく、運用終了後の機体を適切に軌道離脱させ、デブリの発生自体を抑えるPMDの重要性を示す事例といえる。

世界的なメガコンステレーション計画の進展に伴い、運用終了後の衛星やロケットの機体を適切に処分し、軌道環境の持続可能性をいかに確保するかが、宇宙利用における課題の一つとなっている。ロケット製造事業者にとって、機体の打ち上げ能力やコスト競争力を損なうことなく導入できるPMD装置の選定は、今後の事業継続を左右する切実なテーマだ。そうした状況下で、設立数年の日本のスタートアップが開発する装置が、欧州基幹ロケットの調達候補に位置づけられた意義は大きい。

加えて、この取り組みは地方のスタートアップが創業初期から海外市場を視野に入れ、グローバルな宇宙産業サプライチェーンに直接食い込む先行モデルでもある。栃木県の産学官連携で磨かれた技術が、首脳外交の舞台を経て国際的なインフラの一部へと組み込まれていく道筋は、国内の宇宙関連企業に大きな指針を与えるだろう。

宇宙ビジネスの競争軸は、打ち上げ能力の向上だけでなく、環境負荷を抑えた持続可能性の確保へと広がりを見せている。BULLが提示した日伊連携によるPMDの実装モデルは、日本のものづくりが世界の宇宙インフラを支えるための現実的な一手となるだろう。

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