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2026.07.28

ロケットを海に廃棄せず、船で回収して再利用へ。商船三井ら3社が連携

打ち上げ直後の上昇を担うロケットの本体は、任務を終えた後に海へと切り離される。従来の宇宙開発において、それはある種“一度限りの資産”だった。しかし今後、宇宙輸送がビジネスとして自立するためには、ロケットの再使用によるコスト低減は避けて通れない。海は機体を廃棄する場所ではない。ロケットの帰還を安全に迎え入れる「港」としての機能が求められつつある。

2026年4月、株式会社商船三井は無人・自律運航型のロケット洋上回収船の基本設計承認(Approval in Principle:AiP)を、将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)、常石ソリューションズ東京ベイ株式会社と連携して取得した。これは日本の宇宙産業がロケット回収という新たな「物流」を、自国内の技術で完結させるための重要な一歩だ。海運大手が長年培った安全運航技術と海洋事業の知見が、成層圏を越えて帰還する機体を海上で確実に捕捉する。空と海が直結する新しい物流網の構築が、始まろうとしている。(文=SpaceStep編集部)

無人・自律運航で「ロケット回収」に挑む

2026年4月27日、商船三井、ISC、常石ソリューションズ東京ベイの3社が連携。無人・自律運航型のロケット洋上回収船の基本設計について、米国船級協会(American Bureau of Shipping:ABS)よりAiPを取得した。

承認の対象は、船体そのものの設計にとどまらない。ロケットの回収をサポートする支援船、およびそれらを統合的に監視・制御する陸上管制システムを含む「洋上回収システム」全体のコンセプトについて、安全性と技術的な成立性が第三者機関によって確認されたことを意味する。


(引用元:PR TIMES

ロケット洋上回収の実用化に向けた最大の難所は、過酷な海象条件下での精密な位置保持と安全性の確保にある。商船三井は、海運および海洋事業で蓄積してきた高度な安全運航技術を投入し、洋上回収プラットフォームの運用構想やオペレーションの具体化を担ってきた。今後、無人・自律運航が採用されれば、人が直接関与する作業を最小化し、高い安全性を確保した運用実現の後押しとなりうる。

今回のAiP取得は、ロケット回収の実用化に向けた重要な一歩といえる。今後はABSからの技術的な助言を背景に、ISCや常石ソリューションズ東京ベイと緊密に連携しながら、設計の高度化と実装に向けた検討が進められる予定だ。

宇宙を「航路」にする。海運大手の知見が新たなインフラをつくる

宇宙輸送のあり方はいまや、「打ち上げ能力の向上」というフェーズを越え、いかに効率的な「循環型物流」を構築するかという、実務的な段階に移行した。

ロケットの回収を単なる機体拾いではなく、海上におけるダイナミックな「荷役作業」として捉え直す。このパラダイムシフトにおいて、海運大手が持つ高度な海洋プラットフォームの運用ノウハウは、ロケット打ち上げの高頻度化に対応するための不可欠なインフラとなるだろう。

また無人船による自律航行は、荒天時や遠隔地での待機を可能にし、打ち上げスケジュールの柔軟性と確実性を大幅に高めることにも繋がる。これは、宇宙輸送を「特別なイベント」から「予測可能な定期便」へと進化させる推進力となるはずだ。

世界の宇宙市場では、輸送コストの大幅な引き下げが競争力の源泉となっている。日本が自前の洋上回収能力を確立することは、自国のロケット再使用を加速させ、国際的な宇宙輸送市場において確固たる地位を築くための手段の一つとなるだろう。海運大手の知見が「空の道」を支えるインフラへ。日本の宇宙産業が飛躍するための、土台づくりは続く。