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2026.07.07

衛星データで眠れる「再エネ用地」を発掘

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化が急務となっている。しかし、太陽光発電や蓄電所の建設に適した土地は限られ、用地獲得の競争は激化の一途をたどる。広大な国土から条件に合う候補地を見つけ出し、地権者との交渉へと至る道のりは、現場の足と勘に頼る労働集約的な作業にとどまっていた。

このアナログな開発の常識を、はるか上空からの「眼」と人工知能が塗り替えようとしている。マクロな視点と地上の複雑な規制情報を重ね合わせることで、眠れる土地の価値を瞬時に見出し、持続可能な開発の道筋を示す。(文=SpaceStep編集部)

衛星データ×AIが導く「Deal Tech」の全貌

2026年4月、株式会社WHEREは、同社が提供する地権者とつながる不動産AIツール「WHERE」において、再生可能エネルギー事業者の導入数が50社を突破したと発表した。2025年10月に、開発の初期検討プロセスを効率化する「ENERGYアップデート版」を正式リリースしてから約半年での達成となる。


(引用元:PR TIMES

再エネ開発において、保安林や農地区分、災害リスクといった情報は行政ごとに分散し、網羅的な確認作業が壁となっていた。「WHERE」は、衛星データとAIを活用した候補地の探索から、行政・ハザード情報の統合スクリーニング、地権者への直接アプローチまでをワンストップで提供する。情報を可視化して適地を正確に見極め、確認漏れによるトラブルを防ぐことが可能だ。


(引用元:PR TIMES

導入企業からは具体的な成果が報告されている。グリーンエレクトリック株式会社は、空き地などの探索からアプローチまでをツール上で完結させ、1カ月で7件を商談へとつなげた。蓄電池用地の仕入れ効率化を目指すMIRARTHエナジーソリューションズ株式会社も、導入からわずか10日で8件の案件創出に成功している。


(引用元:PR TIMES

WHEREは自らを、テクノロジーとオペレーションの融合で取引創出に伴走する「Deal Tech(ディールテック)」カンパニーと位置づける。同社の分析によれば、約7,300万件の不動産データのうち約68%が再エネ用地の候補になり得るという。宇宙由来のデータと交渉プロセスを結びつける仕組みは、開発の常識をアップデートする取り組みだ。

データが引き出す土地の可能性。再エネ事業の新たな羅針盤

「WHERE」がもたらす本質的な価値は、宇宙インフラを活用して、これまで見過ごされてきた「土地のポテンシャル」を客観的かつスピーディーに引き出す点にある。

従来の用地確保は、断片的な情報収集や人海戦術による営業に依存し、多くの時間を費やしていた。しかし、衛星データとAIが初期工程の「探索とスクリーニング」を代替すれば、事業者は地権者との対話や地域社会との合意形成といったコア業務にリソースを集中できる。これは、慢性的な人材不足に悩む地方の事業者や、新たに再エネ分野へ参入する非専門企業にとっても、ビジネスの武器となる可能性が高い。

さらに、このソリューションは宇宙技術が「地上の課題解決」に直結するフェーズに入ったことを示している。同社は今後、屋根上太陽光発電に向けた屋根形状の検知や、全国の遊休農地の探索など、多様なニーズに対応する機能を拡充していく予定だ。上空から得られるマクロな情報と、地上の複雑な規制というミクロな情報を統合するアプローチは、再エネ分野にとどまらず、耕作放棄地の活用や都市計画の最適化など、さまざまな不動産ビジネスへ応用されるポテンシャルを秘めている。

地球を覆う無数の情報をただの画像として終わらせず、具体的な取引へとつなげる。この知的なインフラが普及することで、広大な国土に眠る未活用の資産が目覚め、カーボンニュートラル実現に向けた歩みは加速していくことだろう。宇宙からの眼差しが、地上のビジネスを動かす羅針盤となる時代が到来している。