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2026.06.11

災害状況を「宇宙から」即座に可視化! 復旧対応の初動が変わる

大規模な自然災害が発生した直後、どこでどれだけの建物が被害を受けたのかを正確に把握することは極めて困難だ。通信網の断絶や道路の寸断により、自治体や企業の初動対応はテレビ報道やアナログな電話確認に頼らざるを得ず、全体像の把握に多大な時間を費やしてきた。

災害直後に起きるこの情報の空白を、宇宙からの眼差しと最新の都市データが埋めようとしている。空から被災地を直感的に可視化し、現場の具体的なアクションへと直結させるテクノロジーは、復旧に向けた初動をどう変えていくのだろうか。(文=SpaceStep編集部)

衛星データ×不動産ツール。2つの技術を災害対応に応用

2026年3月24日、JAXA発のスタートアップ企業である株式会社WHEREは、人工衛星データと3D都市モデルを組み合わせた災害被害度分類システムの提供を、一部のユーザー向けに開始したと発表した。

(引用元:PR TIMES

このシステムは、国土交通省が推進する3D都市モデルの整備・活用プロジェクト「Project PLATEAU」のユースケース開発の一環として構築されたものだ。同社の創業者はこれまでに複数の不動産関連企業を経営した経験を持ち、さらにJAXAの研究所で宇宙技術を学んだ背景がある。その知見を活かし、衛星データとAIを用いて地権者と繋がる不動産ツールを展開してきたが、今回はその技術基盤を災害対応へと応用した形となる。

(引用元:PR TIMES

最大の強みは、天候や昼夜に左右されないSAR(合成開口レーダー)衛星の画像をもとに、発災直後の物件ごとの被害状況を「被害なし・小・中・大」の4段階で自動分類できる点にある。利用者は、自社が管理する物件や自治体の対象リストをシステムにインポートすることで、広域にわたる被害状況を地図上で直感的に確認できる。


(引用元:PR TIMES

さらに、誰がいつどのような対応を行ったかを物件単位で記録する「ステータス管理」機能も備わっている。単なる状況確認にとどまらず、現場での具体的なフォロー業務や情報連携までを一元的に支援する設計となっており、既存の業務フローにシームレスに組み込める点が特徴だ。

宇宙からのデータを即座に「行動の起点」へ。社会の回復力を飛躍的に高める

宇宙から地球を観測するだけの時代は終わり、取得したデータを地上の具体的なアクションへと直接繋げるフェーズが本格的に到来している。新しいシステムの登場は、宇宙ビジネスの価値が実用的なインフラへと移行したことを雄弁に物語っている。

これまでも衛星データは災害時の状況把握に用いられてきた。しかし得られた画像から個別の建物のダメージを判別し、それを実際の住民支援や顧客対応に結びつけるまでには専門的な知識や膨大な手作業が必要だった。衛星データが3D都市モデルや企業の管理リストとシステム上で直接紐づくことにより、宇宙からのデータは専門知識も手作業も必要とせず、即座に「行動の起点」へと変わる。

自治体にとっては、住民からのヒアリングや現地調査に頼っていた被害情報の集約作業がシステム上で効率化され、生活再建に不可欠な罹災証明書の迅速な発行が可能になる。ハウスメーカーなどの民間企業にとっても、無作為な電話確認を繰り返すのではなく、被害の大きい地域から優先的に顧客フォローを行うといった能動的かつ戦略的な対応が実現する。

さらに同社は単なるツールの提供にとどまらず、反響対応や交渉代行までを伴走する体制を目指している。テクノロジーが初動のロスを極限まで削ぎ落とすことで、被災者の生活再建や企業の事業継続にかかる時間は大幅に短縮される。

災害大国である日本において、発災直後の迅速な対応は社会全体の生命線だ。宇宙の技術と地上のデータを掛け合わせ、行政や企業の実務オペレーションにまで深く踏み込むこのアプローチは、予測不可能な脅威に対する社会の回復力を飛躍的に高める確かな足がかりとなるはずだ。