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2026.09.24

民間宇宙基地を実体経済へ。日米の連携

地球低軌道を周回する宇宙ステーションが、国家プロジェクトから民間企業によるビジネスの舞台へと移行しつつある。しかし、宇宙での滞在や実験を実体経済へ組み込むには、安全な運用体制と確かなノウハウが不可欠だ。この壮大な移行期に、日本の有人宇宙開発を支えてきた企業と、独自の宇宙ステーション開発を進める米国の新興企業が手を結んだ。(文=SpaceStep編集部)

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民間宇宙ステーション利用拡大へ向けた日米提携

2026年7月、有人宇宙システム株式会社(JAMSS)は、米国の宇宙企業Vast社および日本法人のVast Japan合同会社と戦略的MOUを締結したと発表した。この発表は、東京で開催されたアジア最大級の宇宙ビジネスイベント「SPACETIDE 2026」にて行われ、業界内外から大きな注目を集めた。


(引用元:PR TIMES)

Vastは、人類の次世代宇宙ステーションの実現を掲げ、2027年に世界初の民間宇宙ステーション「Haven-1」の打ち上げを計画している新興企業だ。一方のJAMSSは、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の運用を通じて、システムの監視や宇宙飛行士の訓練、安全評価など、有人宇宙活動を地上から支える高度なノウハウを長年蓄積してきたプロフェッショナル集団である。


(引用元:PR TIMES)

両社はこれまでも、Haven-1へのJAMSSの自社装置搭載などを通じて連携してきたが、今回のMOUによりその領域を包括的に拡大する。日本およびアジア市場における民間宇宙ステーションの利用拡大を目指し、ミッション設計、訓練、健康管理、運用支援からなる一連のプロセスを統合サービスとして提供していく。

具体的には、民間宇宙ステーションにおける研究開発支援や新規事業の創出、さらには民間宇宙飛行士によるミッション実施の支援や、一般向けの宇宙旅行の実現など、多様なニーズに対応する体制を構築する。国家主導で行われてきた宇宙環境の利用を、民間主導の持続可能なビジネスへと転換させるための枠組みが整えられた。

運用ノウハウの資産化。地球低軌道ビジネスの自立

国際宇宙ステーション(ISS)から商業ステーションへの移行は、宇宙産業が実験段階を終え、真の実体経済へ組み込まれるための決定的な分岐点と言える。

単に「宇宙へ行ける」という夢を語る段階は終わり、いかに安全かつ継続的に宇宙で活動し、地球上のビジネスへ利益を還元するかがシビアに問われている。Vastのように巨額の民間資本を背景にハードウエアの開発を急ぐスタートアップが存在する一方で、彼らが最も必要としているのは、宇宙という極限環境で人間を安全に生存させ、確実にミッションを遂行させる「運用のソフトウエア」である。

ここに、JAMSSが長年培ってきた「きぼう」の運用ノウハウが持つ絶大な価値がある。宇宙飛行士の訓練から日々の健康管理、機器の安全評価に至る実践知は、一朝一夕に構築できない。この国家プロジェクトで蓄積された経験を、民間宇宙ステーション向けのパッケージサービスとして切り出し、アジア市場へ展開するアプローチは、日本の宇宙産業がグローバルなサプライチェーンで不可欠なポジションを確立する合理的な戦略だ。

これまで公的機関が担ってきた宇宙空間での実験や製造が民間企業によって提供されれば、製薬や新素材開発など幅広い産業が微小重力環境へ手軽にアクセスできるようになる。宇宙への道のりが「特別な国家ミッション」から「選択可能なビジネスインフラ」へと姿を変えるのだ。

巨大インフラを構築する米国の開発力と、緻密な運用を支える日本の現場力が交差する。この連携が地球低軌道に盤石なビジネス基盤を築き、人類の経済活動を宇宙空間へと拡張させていくだろう。

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