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2026.02.27

“ちょっと気になる”宇宙ビジネス入門【連載】コスモ女子の“ふわり、宇宙遊泳”(第2回)

こんにちは!宇宙領域の女性コミュニティ「コスモ女子」代表の塔本愛です。
本連載「コスモ女子のふわり、宇宙遊泳」では、コスモ女子のメンバーが宇宙を楽しむエピソードや取り組みを紹介しています。宇宙をもっと身近に、もっと気軽に知っていただければうれしいです。

さて、第1回は、サイレント映画から国家プロジェクトまで、宇宙進出の歴史を追いました。
とはいえ、私たちの生活で宇宙ビジネスを知る機会は「ニュースでロケットが飛んだのを観た」という程度の方も多いでしょう。でも宇宙ビジネスは知れば知るほど面白いんですよ!

今回は、宇宙ビジネスを“ちょっと気になる”レベルから簡単に解説。たまに耳にするSpaceX(スペース・エックス)の動きなどから知っていきましょう。(語り手=塔本愛さん、文=SpaceStep編集部)

※内容は、前回に引き続きコスモ女子主催イベントにて登壇いただいた、JAXA宇宙探査イノベーションハブ 技術領域主幹 上野宗孝さんのご講演内容から一部紹介します。

お話いただいたのは


コスモ女子 代表
塔本 愛 さん

1990年代、宇宙はまだ「謎だらけ」だった

今でこそ宇宙のニュースは日常的に目にしますが、1990年代の宇宙科学は霧の中の状態。太陽系の外に惑星があるのかどうかも分からない時代だったといいます。

そして1995年。人類は初めて、私たちがいる太陽系の外にある「系外惑星」を発見します。
これは、太陽のように光を放つ天体「恒星」の周りをまわる惑星のこと。

それは、宇宙観が大きく揺さぶられる瞬間でした。

「宇宙には、私たちの知らない世界が無数にあるかもしれない」その想像が、現実になったのです。

でもこの頃の宇宙は、一般の人にとって「すごいけれど、遠い世界」で、関わる余地すらありませんでした。
ロケットをつくるのも、人工衛星を上げるのも、目的は国の威信や安全保障。お金を出すのも、決断するのも、すべて国家です。

流れが変わり始めたのは、人工衛星が暮らしに役立つ存在になってきたこと。
たとえば天気予報、カーナビやスマホの地図、テレビやインターネットの通信。これらは、宇宙からの情報があってこそ成り立っています。

「宇宙に行くこと」そのものではなく、「宇宙を使って、地上を便利にする」ことに価値が生まれました。民間企業も多く参入し、国は発注側に。本格的に宇宙ビジネスが加速していきます。

民間企業がメイン!宇宙ビジネスの現在地

宇宙ビジネスの市場は、いま急速に拡大しています。

2035年には250〜300兆円規模になると予測されていて、世界の自動車産業に近づく大きさ。すでに2026年現在でも約90兆円の市場があるので、民間中心の産業に変わってきています。

その象徴がアメリカのイーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発企業、SpaceX(スペースエックス)。年間150機以上のロケットを打ち上げて、地球上空の約550kmに数千機もの小型通信衛星を並べています。


(引用:Wikipedia)SpaceXのロケット「ファルコン9」。このロケットは部分的に再利用可能で。繰り返し使うことで費用も抑えています

その衛星を使ってどこでもネットが使えるようにするサービスが「Starlink(スターリンク)」です。山や海など、これまで通信圏外とされてきた場所でも通信が可能になりました。


(引用:Starlink公式)個人でも買える「Starlink」。自宅や外出先で電源につないで、空に向けるだけの簡単設置です

宇宙から地球を読み解く「観測ビジネス」

もう一つの大きな分野が「地球観測」。

宇宙から地球を撮影することで、災害の状況確認や森林の見守り、船の位置の把握などができます。

例えばアメリカの衛星企業Planet Labs(プラネット・ラボ)は「地球のデジタル化」をミッションに掲げ、地球上の陸地を毎日撮影し、画像データを更新・分析しています。

(引用:Planet Labs)「より広く、より近く、より深く」の通り、土の水分量までわかります

他にも夜や雲の上からでも地表の様子をとらえられるレーダー衛星を持つCapella Space(カペラスペース)なども活躍中です。

(引用:CapellaSpace公式)衛星から撮影した地表面。地球から撮影を求めると、高解像度のデータが数時間以内に送られ、国防や災害対応で世界的に評価されています

他にも宇宙ステーションを支援するロボティクス、増え続ける宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去、船舶の位置情報サービスなど、宇宙ビジネスは多方面に広がっています。

どれも「ロケットに乗る」以外の仕事ばかり。むしろ地上にいる人の方が宇宙に多く関わっているんですね。

「ちょっと気になる」が新しいアイデアの第一歩

世界で巻き起こる宇宙ビジネスの波。

日本がここで成功するために重要なのは、最先端の難しい技術に挑むことだけではありません。むしろ、必要とされるサービスを、低コストでわかりやすく提供すること。この視点が大切です。

たとえば

・使いやすいデータサービス
・日常の課題を解決するアプリ
・他分野と組み合わせた新しい価値

上野先生はこう仰っていました。「こうしたアイデアを生み出すのは専門家だけではありません。宇宙ビジネスとは無関係と思っている人にもチャンスはあるのです。宇宙に興味を持つ人が増えること。それが新しいアイデアの種になります」(上野先生)

宇宙は、遠い場所の話ではありません。

「ちょっと気になる」

その気持ちが、未来のビジネスにつながるかもしれません。(つづく)