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  3. 市場を知り、可能性を知る【連載】ゼロから学ぶ宇宙ビジネス(第2回)

宇宙産業は今や急成長するグローバル市場として注目されている。保守的な試算でも2030年に100兆円、2040年には170兆円に拡大するとされ、広告産業や鉄鋼業に匹敵する規模に迫る。本連載第2回では、こうした成長を支える「メガトレンド」に焦点を当てる。安全保障、デジタル化とAI、そしてサステナビリティ。世界を動かす三つの潮流が宇宙ビジネスの拡大を後押ししている現状を探る。(文=SpaceStep編集部)

教えてくれたのは

株式会社三菱UFJ銀行
サステナブルビジネス部 イノベーション室 室長
橋詰 卓実さん

250917-1-037 (1)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 兼
イノベーション&インキュベーション部  副部長 プリンシパル 
山本 雄一朗さん

拡大する市場規模と保守的な予測

宇宙産業の市場規模は、ここ数年で加速度的に拡大している。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算によれば、現在およそ68兆円規模にあるこの市場は、2030年には101兆円、2040年には170兆円へと拡大する見込みだ。

この数字は単なる夢物語ではなく、すでに各国の投資や産業政策に裏付けられた現実的な予測である。特筆すべきは、この数字があくまで「保守的な」前提に基づいて算出されている点だ。例えば、世界経済フォーラムが示す見積もりでは2035年に1.8兆ドル規模とされており、同社が予測する数字の2.5倍に達する。つまり、現状見えているよりもはるかに大きな市場が形成される可能性があるといえる。

他産業とのグローバルにおける市場規模比較(三菱UFJリサーチ&コンサルティング資料より引用)

この市場の大きさをより実感するには、他産業との比較が分かりやすい。2030年時点での広告産業(メディア産業)の規模と肩を並べ、2040年には鉄鋼産業を超えると予想されている。これらはいずれも人々の暮らしや社会を支えてきた身近な産業であり、そこに宇宙産業が並び立つことは、宇宙が単なる科学探査や夢の世界にとどまらず、現実の社会基盤として不可欠なものへと変貌している証左である。

さらに、宇宙産業の成長を牽引するのはアップストリーム(ロケットや衛星など宇宙空間におけるインフラをつくる)ではなく、むしろダウンストリーム(宇宙空間に構築された空間をつかう)領域にある点が特徴的だ。「衛星データや通信、測位といった分野は、すでに地上の産業や社会生活に浸透し、利用者の裾野が広がっています」(橋詰さん)

スペースX社がKDDI等と組んでいるように携帯電話と衛星が直接つながり消費者の利便性を向上させる時代は既に実現しており、防災や農業、物流など幅広い分野でも宇宙由来のデータや技術が活用されつつある。この成長構造は、利用者が増えれば増えるほど市場が拡大し、それがアップストリームに資金を還流させる循環を生み出している。

宇宙産業の領域別市場規模(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料より引用)

山本さんは「宇宙は歴史ある産業の側面を持ちながらも、新しく革新されていく領域が数多く残っており、これから考えるべき課題や面白さがたくさんある」と語る。つまり、宇宙産業は成熟した分野というよりも、むしろ新興産業としての成長余地を大きく残したまま急拡大している。この市場の潜在力を正しく把握することは、どのような産業であれ今後の戦略を考える上で不可欠である。

安全保障とデジタル化がもたらす追い風

宇宙産業の市場拡大を支える背景には、三つの大きなグローバルな潮流、いわゆる「メガトレンド」がある。第一に、安全保障である。地政学リスクの高まりを背景に、各国は航空宇宙分野への防衛予算を急増させている。橋詰さんは「GPSやドローンももともとは防衛領域の技術だった」と指摘し、軍事技術が平時に転用され、民間市場を広げる構図が宇宙分野でも進んでいると解説する。今や宇宙は安全保障の最前線であり、その投資が産業の裾野を広げている。

宇宙産業成長の背景となるメガトレンド①(三菱UFJリサーチ&コンサルティング資料より引用)

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