
(引用元:PR TIMES)
鳥取砂丘の広大な夜が、未来の月面へと姿を変えた。2025年8月9日から11日までの3日間、この地で「星空観測&月面ARナイトツアー」が開催されたのだ。“星取県”と称される日本一の星空と、最新のAR技術が融合したこの特別なツアーは、参加者を時空を超えた宇宙への旅へと誘った。手掛けたのは、「宇宙の体験をつくる技術集団」を掲げる株式会社amulapo。現実の絶景とデジタルの創造力が織りなすこの新しい夜の楽しみ方は、私たちにどのような感動をもたらしたのだろうか。
ツアーの舞台となったのは、日本一の海岸砂丘として知られる鳥取砂丘。中でも特に高い「馬の背」と呼ばれる丘の上からは、遮るもののない360度のパノラマで、満天の星と日本海の水平線を同時に望むことができる。参加者たちはまず、この圧倒的な自然のプラネタリウムで、専門家による星座の解説に耳を傾けた。
そして、このツアーのハイライトとなるのがAR体験だ。AR(拡張現実)とは、現実の風景にデジタルの映像や情報を重ねて表示する技術のこと。参加者が専用のARグラスを装着すると、目の前に広がる砂丘の風景に、月面着陸船や未来の月面基地がリアルなスケール感で浮かび上がった。まるで自分が宇宙飛行士になって月面を歩いているかのような没入感は、単なる映像鑑賞とは一線を画す体験だ。美しい星空の下、SF映画の世界に入り込んだかのような光景は、参加者に大きな驚きと感動を与えた。

(引用元:PR TIMES)
さらに、このツアーでは星空の美しさを形に残すためのサービスも提供された。星空撮影は専門的な技術が必要で、個人のスマートフォンではなかなか綺麗に撮ることが難しい。そこで、ツアーのスタッフがデジタル一眼カメラを使い、満天の星を背景に参加者一人ひとりを記念撮影。撮影された写真は後日データで無料提供され、この特別な夜の思い出を永遠に持ち帰ることができる心憎い演出も好評を博した。

(引用元:PR TIMES)
このナイトツアーが提供したのは、単なる星空観測や最新技術のデモンストレーションではない。その本質は、人類の宇宙への憧れと挑戦の歴史を追体験する「物語」にあった。
ARグラスを通して描かれる物語は、1969年のアポロ11号による歴史的な月面着陸の場面から始まる。そして、現在各国で進められている月面探査の様子を経て、物語は2050年の未来へ。人々が活動する月面都市の姿が眼前に広がり、参加者は過去から現在、そして未来へと続く壮大な宇宙開発の軌跡を、まるで当事者のように体感することができたのだ。amulapoが目指す「宇宙の体験をつくる」という理念が、このストーリーテリングによって見事に具現化されていた。
また、この取り組みは地域の観光資源に新たな価値を与える地方創生のモデルケースとしても注目に値する。鳥取砂丘が持つ「美しい星空」という唯一無二の自然の魅力に、「月面探査」というテクノロジーが可能にするエンターテインメント性を掛け合わせることで、これまでになかったユニークなナイトアクティビティが誕生した。これは、貴重な自然環境に手を加えることなく、その価値を最大限に引き出すサステナブルな観光開発の好例と言えるだろう。
テクノロジーの力で、遠い宇宙を誰もが「自分ごと」として感じられる体験に変える。今回のツアーは、宇宙というテーマが教育や観光、そして地域振興といった多様な分野と結びつく大きな可能性を示したといえるだろう。